奈緒子(31)
吉崎から先頭でタスキを受けた2区の中学生・倉内は、順調に飛ばし、先頭のまま1km地点を通過する。
同時に、後続の長崎県代表の選手達も、吉崎の命をかけた走りを見て、それぞれの思いを熱くさせていた。
その時、監督兼ランナーの本田が、雄介の存在の大きさを語り始める……。
第四中継所。
長崎代表は、先頭でタスキを宮崎に託した。
この宮崎は、大学1万mで最高記録を出したほどの実力者だ。
ところが第六中継所にいる、監督兼最終ランナーの本田は深刻な表情をしていた。
彼は、宮崎が抱えている腰の爆弾が、いまだ完治していないことを知っていたのだ……。
都道府県駅伝第6区を激走する、長崎代表の天才ランナー・壱岐雄介。
43位から17位にまで順位を上げるその走りに、兄の大介は、仲間のつないだタスキとともに走る雄介の喜びを感じ取っていた。
そしてさらに13位をかわした先には、雄介をライバル視する静岡代表・藤川の背中があった……。
中世の昔から、多くの人々が聖地を目指して歩いたスペイン巡礼路。
自分を見つめ直したくて、イザベラはこの道をたどっていた。
ある港町に着いたとき、雑誌編集者の妹から電話がかかってくる。
有名な映画監督レアンドロ・レイエスがその町に一泊するので、マスコミ嫌いの彼にインタビューしてほしいという。
強引な妹に押し切られ、しぶしぶ教えられた居酒屋に行ったものの、案の定、レアンドロの反応は冷ややかだった。
ところが、イザベラが巡礼の旅についていつか本に書きたいと言うと、レアンドロは突如、熱心に話をしてくれた。
それどころか彼は、別れる段になって思いもかけない誘いの言葉を口にした。
エミリーは十八歳のとき、父の遺言で後見人と形式的な結婚をした。
二十一歳になれば、離婚して遺産を相続できるということだった。
その日が迫り、エミリーが結婚自体を無効とするよう夫に要求すると、夫役を演じてきたラファエレは、彼女の言い分を裏切りと受け止めた。
夫の怒りが静まるまで身を潜めていよう――エミリーはそう考え、スコットランドのコテージに逃れた。
ところが彼女がコテージに着いた日の夜、ラファエレが訪れる。
「離婚する前に結婚の喜びを教えてあげよう」結婚して以来、一度も触れなかったのに、なぜ今になって、わたしを求めるの?続きはこちらから⇒ttp://www.ebookjapan.jp/shop/book.asp?sku=60021610